常に忙しい職場も
看護師は常に忙しいイメージがある
看護師にも繁忙期は存在しますが、中には常に忙しい職場もあります。日本看護協会が2009年に行った調査によると、看護師全体の月平均残業時間は23.4時間で、月に60時間を超える残業をしている看護師は約2万人いることが判明しています。一方、全体的に見ると月20時間以下の残業にとどまっている看護師は6割ほどいることも分かっています。年代別で見ると、20代の若い看護師が最も多く残業しているようです。
2017年に日本医療労働組合連合会が行った調査によると、日常的な業務の中で当然のように残業が発生していることも判明しています。この調査においても20代の看護師が最も残業が多いとされており、特に終業時間後に残業をするケースが多い傾向にあります。シフト別に見ると、3交替制よりも2交替制の職場の方が残業になりやすいようです。
しかし、他職種と比べるとそこまで残業時間は多くないという数字も出ています。全職種の月平均残業時間は24.9時間なので、それと比べると看護師の残業時間は少ないです。では、なぜ看護師は残業が多いという印象を受けるのでしょうか。
目に見えない残業
国は働き方改革を推し進めており、残業時間の上限が定められるなどの対応も取られていますが、目に見えないところで残業が発生しているケースが多発しています。例えば、新人看護師は慣れないことや覚えなければならないことが多く、それを理由に残業が多くなりがちです。しかし、それに対して「見習いなので超過手当は発生しない」「スキルアップのために残業をするのは当然のこと」などといった理由で残業代を支給しない職場があるのです。また、研究会への参加やプレゼンテーションをする際に行う資料作成の時間も、残業に含まれないことが少なくありません。自宅に持ち帰って作業をすることが慣例化しているのです。
このように時間外勤務として申請できていないケースが存在しているため、表に出ている調査結果だけを見ると実際のイメージとの差異が生まれるのです。
残業が多くなる理由
看護師の残業が多い理由としてまず挙げられるのは「書類作成」です。カルテのチェックだけでなく、看護記録や看護計画、研修レポートなども含まれます。また、「人員が足りない」ことも残業が発生しやすい背景の1つです。その他だと、「研修会や勉強会への参加」「救急患者さんや入院患者さんへの緊急対応」なども残業が多くなる理由として挙げられます。ある程度の経験を積んだ看護師ならば、「後輩への教育指導」に多くの時間を割かなければならないこともあります。